いちごは野菜?2026年02月18日 22:05

いちごが美味しい季節になりました。この季節になると毎年、近くのこじんまりとしたイチゴハウスで栽培したいちごの直売所で頻繁に買ってきていたのですが、今年は、販売しなくなってしまいました。栽培してくれていたおじいちゃんが、昨年腰を悪くして、継続できなくなったためです。90歳を超える年齢だったので、もう感謝しかありませんでした。店や道の駅に出しているわけではなく、ハウスのそばの小さい直売棚でのみ販売されていました。時期や大きさにもよりますが、1パック250円~400円でもぎたてのいちごを販売してくれていました(1日4~15パック程度、お金入れが置いてあるセルフ方式)。もいでくれる8時半くらいになると、お金(2パック分)とビニール袋をもって、自転車で買いに行っていました。旬には週に2回行くときもありました。これまで美味しいいちごをありがとうございました。というわけで、今年は、まだスーパーなどで買った(高い)ものを2、3回しか食していません。味も昨年までのものには及びません。

さて、そのいちごですが、先日、テレビのワイドショーだったと思いますが、「いちごは果物か野菜か」という問題が生産農家の方から出題されていました。問題にするくらいなので、普通に考える方、すなわち果物は間違いという予感通り、その答えは「野菜」でした。理由は「果物は木になるもの、草になるものが野菜、いちごは草の分類になるので答えは野菜」ということでした。つまり、木本性植物になるものは果物、草本性植物になるものは野菜、という定義のようです。ふーんで終われないのが、理系の性(さが)です。美味しいのだから、どちらでもいい、という方はここから先は読まない方がいいかもしれません。
その問題が出されたとき、私が思ったのは、いちごはバラ科である、バラ科の果物にはりんご、梨、桃など代表的なものが多いので、いちごも果物である、ということでした。バラ科の果物には、それ以外にさくらんぼ、プルーン、あんず、梅、びわなどがあります。

こうなると、調べたくなります。
まず、農林水産省の果物に関連する定義または説明を調べてみましたが、果物の明確な定義はなく、「果樹」の説明がありました。
「概ね2年以上栽培する草本植物及び木本植物であって、果実を食用とするものを「果樹」として取り扱っています。従って、一般的にはくだものとは呼ばれていないと思われる栗や梅などを果樹としている一方で、くだものと呼ばれることのあるメロンやイチゴ、スイカ(いずれも一年生草本植物)などは野菜として取り扱っています。」
 出典 https://www.maff.go.jp/j/seisan/ryutu/fruits/teigi.html

この段階で、ん~?と思ったことが2つあります。1つ目は梅はくだものと呼ばれていない、とされていることで、上に書いたように私は果物だと思っていました。確かに、生で食べることはあまりありませんので、くだものと呼ばないのかもしれません。生の青梅はおなかを壊すとされていますが、黄色くなって十分熟した梅を私は食べたことがあり、甘酸っぱくておいしかった記憶があります。もう一つは、いちごが一年生草本植物に分類されていることです。いちご(苺)をWikipediaで見てみると「イチゴはバラ科の多年草。」と書いてあります。念のため、他のサイトを見ても、多年草に分類されています。農林水産省はなぜ一年生草本と言ったのでしょうか。
いちごは、花が咲き、実がなる頃、匍匐茎(ほふくけい=ランナー)が出てくるとのことです。実(種)でも増えていくのでしょうが、元の株は枯れずに、さらにこのランナーが根を張ってそこに子供の芽が出るようです。庭の芝生もランナーで広がっていきますが、それと同じようなものなのでしょう。なので、いちごは、1年では枯れずにランナーによってどんどん株を広げ、いちごの実を毎年つけることができるらしいのです。これが多年草と言われる所以だと思われます。しかし、商品になるおいしいいちごを実らせるには、自然のままではなく、適切な時期に、ランナーを切り取り、子供の株(=苗)として植え替える(子供の株をポットなどで育て、時期が来たらいちご畑に植え付ける)ことが大切なようです。このとき、すでに実をつける時期が終了した親の株は、抜いて処分することになります。すなわち、いちご農家にとっては、いちごは一年生草本と言えるのでしょう。

スーパーではいちごは果物のコーナーに置かれています。消費者の視点ではいちごはやはり果物なのです。ちなみに、総務省の統計局がいろいろな市場の統計を公表していますが、たとえば、「家計調査」のデータもあり、その中に「1世帯当たり品目別年間支出金額及び購入数量」というのがあり、いちごは分類として「生鮮野菜」ではなく、「果物」の中に入っています。メロンやすいかも「果物」の中にありました。
 出典 https://www.stat.go.jp/data/kakei/5.html

物や事柄を分類するとき、その境界線上にどちらとも言えるもの(言えないもの)や紛らわしいものがあり、立場や視点を決めて分類せざるを得ないことはよくあることでしょう。そして、時代あるいは科学技術の進歩によって、その分類が変わることもしばしば起こることです。