諸葛菜2025年04月05日 14:36

諸葛菜
少し前になりますが、ウォーキングコースに咲いていました(スマホ撮影)。この植物はかなり昔から知っているのですが、花大根とも言うこと、それ故アブラナ科であること、そして、この名前は諸葛孔明に関係するのだろうな、とその程度の知識でした。暇になったおかげで、また、簡単にネット検索できるようになったおかげで、今回少し真剣に調べてみる気になりました。
まず、正式な(?)名称はオオアラセイトウ(大紫羅欄花、学名: Orychophragmus violaceus)で、他の別名はムラサキハナナ(紫花菜)ということです。後者は、紫色の花が咲く菜の花、とそのまんまですね。花言葉は「聡明」だそうです(他にもあり)。
さて、諸葛菜という名の由来ですが、GoogleのAIによる回答では、
「中国の三国時代に、蜀(ショク)の国(四川省成都)の丞相・諸葛孔明が、魏国との戦争の前線で、軍隊の糧食をまかなう一助として栽培したことに由来する」
と出てきます。例えば、2~3ヶ月同じところに陣を張れば、種を蒔いてそこそこ育ったところで食べる、また、複数に分かれて同じコースを進軍するなら、先陣が蒔いたものを後の軍隊が食べる、そんな感じでしょうか。このことを示す書物(資料)は、当然、三国志になると推測されます。中国の三国志はもちろん、日本語の三国志も私は読んだことがないので、そこをネットで調べてみると、あの吉川英治の『三国志』の「篇外余録」に記載されているとのことです。
吉川英治は、多くの中国の書物を参考にしていると思いますが、ダイレクトに出典を書いているわけではなさそうです。そのあたりをさらに詳しく探っているのが下記でした。もはや、私の知の及ぶところではないので、興味のある方は下記を参考にしてください。
https://mog-lab.com/2021/09/post-187.html

日本タンポポ2025年04月24日 22:17

日本タンポポ
タンポポは春に咲く野の花としてもっともポピュラーなものの1つですが、日本で咲くタンポポの8割は西洋タンポポと言われています(日本タンポポとの交雑種を含む)。
私の住んでいるあたりは、まだ日本タンポポが結構見られます。写真(スマホ撮影)のようにガクが花弁に沿って閉じているのでそう判断しました。西洋タンポポは、このガクが外に反り返るようになっています。もちろん、純粋な日本タンポポかどうかは、それこそDNA鑑定でもしないとわからないかもしれません。

さて、タンポポの花は通常は黄色です。春には黄色い花が多いように思います。何かちゃんとした理由があるのか、調べてみました。
要点を書くと、
・その植物の生殖戦略と関係がある
・春の昆虫に来てもらうために目立つようにする
・早春の枯草の中の黄色は昆虫にとって目立つ
ということらしいです。なるほどです。
出典はこちら
https://jspp.org/hiroba/q_and_a/detail.html?id=2524

昔、山に登っているころ、高山植物の花は黄色と白が多く、その理由はかくかくしかじかである、と読んだ記憶はあるのですが、具体的には忘れています。同じようなことなのかもしれません。
なお、上記出典の中で、「昆虫が受容出来る光の波長は人に比べて短波長よりで、300nm〜650nm (nm: ナノメーター = 10のマイナス9乗メーター)の範囲だといわれています。だから、紫外線を含む青や紫の短波長の光には昆虫は反応し易く、赤色の様な長波長の光には反応が鈍いのです。人には黄色い花や白い花も昆虫には淡い青色に写ると思われます。」という部分、すぐにはピンときませんでしたので、次回、考えたいと思います。

True Colors 12025年04月27日 22:22

先日の「日本タンポポ」で最後に書いた「人には黄色い花や白い花も昆虫には淡い青色に写ると思われます。」の部分について、調べて考えてみました。
人が感じる光、すなわち可視光の波長範囲は、微妙に異なる値が出てきますが、だいたい380-780nmあたりのようです。
この可視光を7色に分けると、あの有名な赤橙黄緑青藍紫という言い方になります。光の三原色は赤(R)、緑(G)、青(B)で、この3色の混ぜ方でいろいろな色を表すことができると言います。人の網膜の視細胞の分光感度を考えるとかなりややこしい話になりそうなので、ここでは省略します。赤い光と緑の光が合わさると黄色になります。つまり、白色光から青い成分がなくなると黄色になるということですね。ついでに、青と緑の光ならシアンという色、青と赤ならマゼンタという色になります。黄色い花は、太陽光のうち、赤い光と緑の光を反射しているので、黄色く見える、ということになります。

先の出典によれば、昆虫の感じる波長は300nm〜650nmということであり、昆虫の持っている視細胞は、赤い光はぎりぎりなんとか感じる程度であり、一方、380nmより短波の光、つまり紫外光については、昆虫は何色と認識しているのかよくわかりませんが、ともかく、赤色はほとんど感じず、緑色を強く感じ、青色ないしは紫外光を(青っぽく)感じて、緑+青でシアン色(≒淡い青色)に写る、ということかと解釈しました。

なお、人間の視細胞は3種類(だいたい、青・緑・赤に感応)ということですが、調べていく過程で、昆虫はその種によって異なり、ミツバチは3種類(紫外・青・緑)ですが、アゲハチョウは6種類(紫外、紫、青、緑、赤、広帯域)ということを知りました。本当の色がどうかというよりも、それぞれの昆虫が吸蜜や産卵のために花や葉を見分ける能力を進化させていった、ということなのでしょう。

True Colors 22025年04月28日 20:59

西丹沢
写真は、先日スマホで撮影した丹沢の写真です。山桜が新緑の中に映えて、私の好きな風景の一つです。スマホなので、今一つきれいに写っていませんが、広葉樹の新芽・若葉のいろいろな淡い緑色と常緑針葉樹の濃い緑の中に薄いピンクの桜が引き立ちます。

3種類の視細胞により、微妙な緑のグラデーションを感じ取ることができる、この人間に備わった感覚はすばらしいと思います。人間に限らず、視細胞は特定の波長のみ(単色光)に感じるわけではなく、山なりの裾が広がった感度を持っています。分光感度と言いますが、例えば赤に感じる細胞は、実際には570nmあたりにピークを持ち、幅広く400nmあたりから700nmあたりまで感度の裾野が広がっています。青、緑、赤のそれぞれの視細胞が感じた光の強度を脳がうまく演算していろいろな色として感じているのだと思います。

デジカメが当たり前となる少し前、カラー写真フィルムもどんどん進化して、より人間の色の感じ方に近い「リアラ」と呼ばれるカラーネガフィルムがありました。今もあるかどうかはわかりません。人間の視細胞が青と緑の間のあたりの色(波長でいうと500nm前後かな)を感じるとき、赤の成分が減少する(つまり負の感度を持つ)ように感知されるということが起こるらしく、この色の感じ方を写真フィルムで実現しようとしたとのことです。デジカメなら演算で簡単にできそうですが、写真フィルムの現像(化学反応)でこれを実現するのは大変だったと思います。(実際には、第四の感光層と呼ばれる500nm前後に感度を持つ層を設け、これが感光したときには、現像時に赤色に感じる層の現像を抑制する物質を放出する、というメカニズムらしいです。)
なお、デジカメの撮像素子は、BGRの感光素子が平面内の2次元に配列されていますが、写真フイルムでは、BGRの感光層は深さ方向に配置されています。

True Colors 32025年04月29日 22:38

少し前になりますが、NHKのBSで「TRUE COLORS」というドラマを放送していました。遺伝的な目の病気により、視力と色覚機能が低下していく女性フォトグラファーが故郷の天草で種々の苦難を乗り越えていく物語です。なかなかいいドラマだったと思います。詳細はNHKのサイトでご確認ください。

このドラマのタイトルや内容からヒントを得て、ここ3回のブログを書いてきました。ドラマの中では、虹の7色(赤橙黄緑青藍紫)や詳細な色彩の名前、そして視細胞である錐体という言葉も病名として出てきます。
人の3種類の視細胞の話は書きましたが、みんなが同じものを見て全く同じ色に認識しているかというと、必ずしもそうではないのではないかと思います。私自身、右目と左目で若干色味が違います。右目の方が黄色味を帯びています。ただ、病気というよりも年のせいのようです。

ドラマのラストは、イタリアのとあるワイナリーで、黄葉したぶどう畑を背景に幼馴染(天草からフィレンツェに留学中)からプロポーズされる美しいシーンです。「天国の畑」と呼ばれたこの場所で、幼馴染はつぶやきます。
「Sembri un angelo お前が天使に見える」

このぶどう畑の位置をGoogleマップで探しましたが、まだ見つかっていません。