外式のコダクロームの現像について2025年05月31日 21:11

今回こそ、コダクロームの現像について書きます。コダクロームにはカプラーは入っていませんが、B、G、Rの各感光層があるのは内式のリバーサルフィルム(エクタクロームとかフジクロームとか)と同じです。カプラーが感光層に入っていない分、層を薄く設計でき、これにより高い鮮鋭度を得ることができるのがこのフィルムの特徴です。その現像ですが、反転するためにまず第一ステップの黒白現像をするのは内式と同じです。ここからが外式ならではの複雑な(面倒な)処理になります。推測で書いているところもありますので、間違っているところがあったら申し訳ありません。

それぞれの感光層にカプラーが入っていないので、現像液からカプラーを供給することになりますが、3色のカプラーがあるので、それぞれ別々に現像することが必要になります。第一ステップの黒白現像で残された未露光部分のハロゲン化銀は、3つの感光層別々に「感光」させるために、それぞれの光での「露光」をおこなうことになります(最後の層の現像は「かぶらせ剤」でもいいことになります)。

どの感光層から現像するかというと、実際には、R感光層から行うようです。R露光を行ったのち、シアンカプラーを含む現像液で処理します。R感光層の露光されたハロゲン化銀が現像主薬によって還元され、その時発生した酸化された現像主薬がすぐそばにあるシアンカプラー(感光層中に浸透してきたもの)と反応してシアン色素が形成され、その層に固定されます。なぜRから行うかは、想像ですが、一番下(ベースフィルム側)の層に画像が形成されても、その後の露光に影響を与えにくいからかな、と思います。
しかし、次の露光と現像は、何故か一番上のB感光層なのです。B露光をして、イエローカプラーを含む現像液で処理し、イエロー色素画像が形成されます。
最後の処理はG感光層ですが、ここは露光ではなく「かぶらせ剤」を使っているようです。現像液には「かぶらせ剤」とマゼンタカプラーと、そして現像主薬が含まれており、この処理によってG層にマゼンタ色素が生成します。もう、BもRも未露光のハロゲン化銀は残っていませんから、「かぶらせ」られるのは、Gのハロゲン化銀のみになります。最後は露光の必要がないので、先に上のB感光層の露光・現像処理を済ませてしまうのかもしれません。こうして、B、G、Rすべての層の色素画像が形成されることになります。あとは、漂白と定着で銀・ハロゲン化銀を除去すれば終了です。

これだけの手間をかける外式のコダクローム、メリットは上記の高い鮮鋭度以外に、カプラーをフィルム中に安定的に分散させておく必要がないので、そのカプラーの構造の選択肢が増え、結果的に色素の安定性(褪色しにくいとか)のメリットもあるように思います。


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