写真フィルムの現像について2025年05月29日 20:13

先日のブログ記事で、コダクロームの現像について書きます、と言いましたが、まずはそもそもの一般的な写真フィルムの現像について書いてみたいと思います。

写真フィルムの現像液には、主薬と呼ばれる還元剤が入っています。
黒白フィルムは、露光された部分のハロゲン化銀が現像されて(=還元されて)銀に変わり、銀の濃淡が画像、つまり写真になります(フィルムだけならまだネガ画像です。これを印画紙に焼付けて現像することで黒白写真ができあがります)。
なお、ハロゲン化銀は感光性物質であり、黒白写真では画像形成材でもあります。ハロゲン化銀は、元々は青い光(B)および紫外光に感度を持ちますが、緑(G)や赤い光(R)にはほとんど感度を持ちません。通常の撮影用の黒白フィルムは、パンクロフィルム(パンクロマティックフィルム)とも呼ばれますが、紫外から赤色の波長まで感度を持つように設計されています。ハロゲン化銀(粒子)の表面に、緑や赤の光を吸収する増感色素と呼ばれる有機化合物を吸着させて、これらの波長の光にも感度を持たせています。

通常のカラーフィルムにはB、G、Rのそれぞれの光に感じる感光層があることは、以前のブログ記事「True Colors 2」で触れました。そして、それぞれの感光層には、Bの感光層ならイエローカプラー、Gの感光層ならマゼンタカプラー、Rの感光層ならシアンカプラーが添加されています。
カラーネガフィルムの現像では、それぞれの感光層で露光された部分のハロゲン化銀が現像液(カラー現像主薬)によって還元され銀に変わりますが、このとき酸化された現像主薬がすぐそばにあるカプラー(Bの感光層ならイエローカプラー、Gの感光層ならマゼンタカプラー、Rの感光層ならシアンカプラー)と化学反応して、色素が生成します(同順で、それぞれイエロー色素、マゼンタ色素、シアン色素)。その後の処理によって、銀が漂白され、ハロゲン化銀が定着(溶解)され、カラーのネガ画像ができます。撮影後、写真店に出して同時プリントを頼んだ時に返却されるあのオレンジ色をしたフィルムです。カラーネガフィルム(ネガ画像)をカラープリントに焼付ければ、撮影した対象物と同様のポジ画像が得られることになります。

このようにカラーネガフィルムでは、比較的簡単な現像処理により、カラー画像を得ることができます。但し、フィルムではネガ画像が得られるだけなので、ポジ画像を得るにはプリントが必要となります。
次回は、フィルムそのものにポジ画像が形成されるリバーサルについて書きたいと思います。